トップ > 相続登記 > 相続回復請求権/相続の承認及び放棄

相続登記

相続回復請求権/相続の承認及び放棄

(7)相続回復請求権

相続欠格者や本来相続人でないのに相続人を装っている不真正相続人が,遺産の管理・処分を行っている場合,相続人は遺産を取り戻すことができます。これを相続回復請求権といいます。相続回復請求権は個々の特定の不動産などを明示せずに包括的に行使できます。相続回復請求権は相続人またはその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは,時効によって消滅することになります。また,相続開始の時から20年を経過したときも同様に消滅します。

(8)相続の承認及び放棄

相続は被相続人の権利義務を相続人が承継する効果をもつものであるが,実際に相続を承認して権利義務を承継するか,あるいは,相続を放棄して権利義務の承継を拒絶するかは各相続人の意思に委ねられています。ただし,相続人が民法921条に規定している事由を行ったときは単純承認をしたものとみなされます。

ア 相続の承認・放棄をすべき期間

相続の承認や放棄は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければならない。ただし,この期間は利害関係人や検察官の請求により家庭裁判所が伸長することができる。「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,相続開始の原因となるべき事実を知り,かつ,それによって自分が相続人となったことを知った時をいう(大決大正15年8月3日民集5巻679頁)。相続財産が全く存在しないと信ずるにつき相当な理由があるという例外的な場合には,この期間は,相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識し得べき時から起算する旨の判例がある(最二小判昭和59年4月27日民集第38巻6号698頁)。相続人は相続の承認や放棄をするまで,その固有財産におけるのと同一の注意をもって,相続財産を管理しなければならない。

ページの先頭へ

イ 相続の承認の内容

相続人が被相続人の権利義務の承継を受諾することを相続の承認といい,権利義務の承継を受諾する範囲により単純承認と限定承認に分かれます。

単純承認は相続により相続人が被相続人の権利義務を無限に承継するものである。相続人が民法921条に規定される事由を行ったときは単純承認したものとみなされます。

限定承認は相続によって得たプラス財産の限度で被相続人のマイナス債務や被相続人のした遺言による遺贈を弁済するというものです。共同相続の場合には限定承認は共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

ウ 単純承認

被相続人の権利義務を承継することを相続人が無限定に承認するいわば無限責任ということです

単純承認になる場合
【法定単純承認事由】
(1) 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。
*ただし,保存行為及び第602条 に定める期間を超えない賃貸をすることはこの限りでない。
(2) 相続人が第915条第1項の3ヶ月内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
(3) 相続人が,限定承認又は相続の放棄をした後であっても,相続財産の全部若しくは一部を隠匿し,私にこれを消費し,又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。
*ただし,その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後はこの限りでない。
エ 限定承認
(1) 限定承認の方法

相続人が数人あるときは,共同相続人の全員が共同してのみ限定承認ができるとされています。さらに,自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に,相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し,限定承認する旨を申述しなければなりません。

(2) 限定承認をした場合の効果

相続によって得たプラス財産の限度で被相続人のマイナス債務や被相続人のした遺言による遺贈を弁済するといういわば有限責任の効果が相続人に生じます。また,相続人が限定承認をしたときは,その被相続人に対して有した権利義務は,消滅しなかったものとみなされます。限定承認者は,限定承認前であろうと後であろうと固有財産におけるのと同一の注意をもって,相続財産の管理を継続しなければなりません。限定承認した場合,原則として撤回するできません。

ページの先頭へ

オ 相続放棄

一般的に被相続人の負債が多いケースや,家業を長男が継ぐ場合など後継者以外の兄弟姉妹が相続を辞退するときなどに使われます。なお,原則として,3か月以内に限定承認又は相続放棄のどちらかを選択しなかった相続人は単純承認したとみなされます。

(1) 相続放棄の方法

相続を放棄する場合には被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述する。

(2) 相続放棄の効果

相続放棄をした人は,初めから相続人にならなかったものとみなされ,遺産分割と異なり,第三者の権利を害することはできないという制限はありません。 相続欠格などとは違い,相続放棄者の直系卑属へ代襲相続も発生しません。父母の相続を放棄した後,祖父母の相続が発生した場合,放棄した事実は祖父母の相続には影響はなく祖父母の相続について代襲相続人になることができます。

相続財産の管理義務として,自己の財産におけるのと同一の注意義務があります。また,撤回の禁止もあります。同順位者全員が相続放棄すれば,後順位の人が相続人になります。たとえば,子供全員が相続放棄をすると,直近の直系尊属が相続人となります。直系尊属が不存在か全員が相続放棄すれば次順位の兄弟姉妹が相続人になります。 相続財産が債務超過の場合,債務を免れるためには,配偶者を含め相続人になりうる人すべてが相続放棄をする必要が出てきます。なお,被相続人が死亡して3か月経過していても,前順位者全員が放棄し自己が相続人になったことを知ったときから3か月を起算します。数次相続の場合,相続人が3ヶ月の熟慮期間中に放棄することなく死亡した場合,その地位も相続します。

カ 相続の承認・放棄の撤回及び取消し

相続人が相続の承認または放棄をしたときは,以後は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内の期間内であっても撤回できません。しかし,民法総則及び親族編に定められる取消原因があれば民法919条3項に定められる一定期間に取消しすることはできます。この場合,限定承認または相続の放棄の取消しをしようとする人は家庭裁判所に申述しなければなりません。

ページの先頭へ